エンダーのゲーム / オースン・スコット・カード

一言で言うとSF版ナポレオンです。ハリーポッターみたいな和気あいあいとした話ではもなく、立身出世のためにしのぎを削るどす黒い話でもありません。初代ドラクエみたいに世界の行く末が一人の少年に委ねられるという話。現代における戦争の勝敗は資源の格差やテクノロジーの格差で決まるというのが一般論ですが、この世界ではよき戦術とよき戦略こそが勝敗を決します。恒星間を移動できるほどのテクノロジーを持ちながら、戦争のスタイルが場違いなほど古めかしいのには疑問がありますが、素直にフィクションとして読むぶんには別にかまいません。天才棋士が自らの発想で定石を覆す、みたいな痛快さ。まあ、つまらなくはなかったですがそんなに面白くもなかったです。翻訳が直訳気味でちょっと冗長でしたし。こういう英雄ものが好きなら楽しめるでしょう。