山本弘「七パーセントのテンムー」
哲学的ゾンビもの。トンデモ本の作者への悪意をびんびん感じる。なんだろう。嫌なことでもあったのだろうか。「トンデモ本の世界」のころはこの愛すべきバカ野郎たちって感じだったのに。オチで一応フォローしてるけどあんまりフォローになってないような気もする。
円城塔「パリンプセストあるいは重ね書きされた八つの物語」
短編の形にすらなっていない。ショートショート×8みたいな作品。出オチみたいな作品もあれば、ワクワクするようなほら吹きコラムもある。「紐虫をめぐる奇妙な性質」や「涙方程式始末」は面白かった。逆に想像力が追いつかなくて冷めてしまったのは「縞馬型をした我が父母について」。円城塔はアイディアの作家としてやっていきたいようだけど、この辺でふつうのアイディアでいかにエンタメするかに取り組んでほしいなあ。文体の作家でもあるのだから。