巷説百物語 / 京極夏彦

普通のミステリは犯人の反社会的行為を暴くのですが、これは主人公がリンチ(私刑)に加担するという、なかなかに反社会的な作品です。まあ、何の罪も無い善人をよってたかってなぶり殺すだけでは面白くないので、「妖怪じゃ!妖怪の仕業じゃ!」というカモフラージュがあります。一応、殺されるほうは法で裁けない悪いヤツで、法で裁けぬ悪人を罠にはめて落とすのは必要悪ってことにはなってます。その点「百器徒然袋 雨」と同じですね。まあちょっとキャラが弱いので京極堂シリーズの下位互換なところが残念です。