どちらかが彼女を殺した / 東野圭吾

書名そのまんまのフーダニットです。容疑者は二人、どちらが被害者を殺したのか？　本文中には犯人を明かす記述がないため、読者は散りばめられた伏線を自分で回収して、犯人を推理しなくてはいけません。まるで自分が探偵になったかのような知的ゲームを楽しむことができるでしょう。

―――と書くとなにやらとても面白そうですが、正直推理する気になれませんでした。架空の事件の犯人探しなんて面倒くさくてやってられません。突然目の前でジクソーパズルをぶちまけられ、それ完成させといて、と言われた気分です。単に私にその手の情熱が欠けてるだけなのかもしれません。ああ、同じ謎を残すにしてもホーガンや円城塔とかなら、知的好奇心が刺激されて推理なり考察する気がおきるんですが……。この作品はミステリ好きかそうでないかを見分ける踏み絵のなのかもしれません。そして私はかくのごとく隠れキリシタンならぬ似非ミステリファンであることが発覚しました。なんたることだ。