公共哲学とは何か / 山脇直司

ありとあらゆる思想のいいとこどりをすれば最強の思想ができるんじゃね? と思ったことがありますが本書はまさにそんな感じです。そうした思想はたしかに欠点らしい欠点も無く、防御力という点では非常に優秀なのですが、それを使って何か面白いことができるかと言うと、まったく役に立ちません。格別間違ったことを言っているわけでもなく、その方向性の正しさは誰もが認めるところだと思うのですが、僕たちがそんなお上品な存在だったら世界はこんなに混沌としてないよね、と思うのです。むしろハイエクのように穴だらけだけど攻撃力抜群みたいな思想の方が、現実を咀嚼するのに有用だと思います。社会思想史としてはそこそこ。アリストテレスからヘーゲル横井小楠南原繁など幅広く紹介されてます。