よその子 / トリイ・ヘイデン

知的障害者とか精神障害者を取り上げるノンフィクションって、お涙ちょうだいものが多くてげんなりなんだけど、これはあまりげんなりすることもなく読めたな。いや、むしろちょっと感涙してしまったくらいだ。たいていの本は、一般人が自分の正義感を充足するためだけにお節介をしているだけだ。「かわいそうな弱者」を救う俺カッコイイってやつだ。そんなのは読みたくない。しかしこの著者は、そういった規範的意識から行動しているわけでなく、美しさに惹かれて動いていたらたまたま対象が知的障害者だっただけだという。そこにはたいした理屈も無い。だから恋人から「お前はあのイカレた子どもの世話のほうが好きなんだろ!」と文句を言われて破局寸前になっても、「そんな私がイカレてるみたいに言わなくたっていいじゃん。だって好きなんだからしょうがないし。むしろそれが当たり前だし」ぐらいの感情的な反論しか言えない。いやはや、まったくこんな人が世の中にはいるのだな。すげーなすごいです、と言っておこう。