肉食屋敷 / 小林泰三

香りたつB級ホラー臭。タイトルそのまんまの表題作はおいといて、よかったのは、西部劇のパロディの「ジャンク」という短編です。この世界ではサイボーグ化したごろつきどもが抗争しているのですが、サイボーグといってもメカメカしい金属のパーツではなく、生もののパーツを使用しています。生物をひとつの存在としてとらえるのでなく、パーツが組み合わさって出来るエンジニアリングの産物としてとらえているので、まるで車のパーツを交換するかのような気軽さで臓器移植がなされてしまうのですね。このあたりの生命倫理のはっちゃけっぷりが黒い笑いをさそいます。