マネーボール / マイケル・ルイス

マネー・ボール (ランダムハウス講談社文庫)
少ない投資のわりに異常なほど好成績をたたきだす野球チームのノンフィクション。莫大な金を使っているのに結果はさっぱりっていう状況はよくありますよね。世の中には、そうした状況にたいして「けしからん」と思う人と「これはチャンスだ」と思う人、2通りいると思うんですよ。なんでチャンスになるかっていうと、コストパフォーマンスの低い戦略にこだわっているところがあれば、自分がコストパフォーマンスのいい戦略で勝負して、そいつらを出し抜いてやればいいからです。


同じように、なにか問題が起きると、悲劇だなんだとわめいて「社会問題に関心のある私かっこいい」アピールしたり、必死で悪者探しして叩ける相手を見つけようとする人がいます。一方で、そうした問題をビジネスチャンスとしてとらえ、いかに問題を解決してあげて報酬を得るかを考える人がいます。どちらの側に立ったほうがより建設的かは明らかだと思うんですが、そんな単純なこともこの本を読むまではよく実感できませんでした。文系の学生は政治学社会学の偉そうな本を読むより、まずこれを読むべきだろうと思います。