エリ・エリ / 平谷美樹


第一回小松左京賞受賞の平谷美樹のSF。信仰を失った人類が新たなる神を求めて地球外知的生命体を探していたら、本当にファーストコンタクトをしてしまった、というストーリー。神の証明を求める神父が物語上大きな役割を持っており、キリスト教と科学の統合がテーマになっています。そういう意味では、ダン・ブラウン「天使と悪魔」のSF版って感じです。無宗教の日本人にとってはどうでもいい話かもしれませんが、少しでも「やっぱ神様っているのかなあ」と思う人にとっては興味深く読めるかもしれません。ただこの小説で提示された神の姿は、キリスト教を信じている人に怒られそうです。
とはいえ、無宗教な私にとっても、ええーそんなのが神でいいの? という疑問がありました。重厚さが足りないというか、あっさりしすぎているというか。まだ空飛ぶスパゲッティ・モンスター教の方が好きです。

まずまず面白いんですが、円城塔「Self-Reference ENGINE」を落としといてこれが小松左京賞獲っちゃうのはなんだかなあ。ちょっ先生お気を確かに! と諌める人がいなかったのだろうか。文学賞なんて飾りです。偉い人にはそれが分からんのです。ごめん、言ってみたかっただけ。とにかく円城塔をプッシュしないと気がすまない今日この頃です。
宗教ネタと絡めたSFなら瀬名秀明「BRAIN VALLEY」グレッグ・イーガン「祈りの海」などもオススメ。