なるたる 

命が軽いなあ、とを読んでいて思った。いや、容赦なく人が死ぬ話というのは戦争ものをはじめとしてありふれているわけだけど、ふつうそういう話での人の死は重い。都市が壊滅するような事態なんてそれはもう激烈にやばいわけで、その重さに登場人物たちは苦しむ。映画「ウォッチメン」とか、そのあたりなかなか突き付けてくるものがあっていいですね。しかし、この「なるたる」。命が軽いのである。なんか発砲スチロールでできてんじゃないかっていうぐらい、軽い。その半面、肥大した自意識の懊悩のようなどうでもいい問題がやたらと重く、なかなかアンバランスだ。

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