衝動・暴力・破壊あたりがテーマで面白かった映画――「ファイトクラブ」・「ドッグヴィル」・「ブラッド・ダイヤモンド」

仕事がつまんなすぎて死んだ魚の目で出張するサラリーマンが、不眠症のセラピーに、なぜか殴り合いのケンカを始める、というよくわからない話。しかし、衝動、とりわけ、破壊衝動、というのがよく表現されてて、すごいなあ、と思います。ケンカという、非合理的な衝動は、どうやってこじつけてもうまく説明できないので、がーっと勢いで誤魔化すしかないわけなんですが、その、がーっ、という部分が、ブラッド・ピットのカッコよさもあって、すごい巧みに、立ち上がってくるんですよね。ある種のフーダニット的謎解き要素もあるので、エンタメとしても面白いです。


で、こっちの破壊は、狭いムラ社会に訪れた旅人が最初は歓待されながらも、なぜか、いろいろ(性的にも)虐待され、最後にはすべてを吹き飛ばす暴力が、醜悪なムラ社会を白日の下にさらす、という話。ムラ社会のいやらしいところがいかんなく発揮されていて、すごいです。人間不信になります。あと、演劇的な表現なんですが、驚くほど、のめり込みます。まるで、そこに、リアルなムラがあるかのように、思わされました。



どんどん胸糞悪くなるんですが、これは内戦下のシエラレオネの虐殺を事実に基づいて描いた話。さらわれた息子がドラッグ漬けの少年兵になるあたり救いがなさすぎます。もうやめて!市民社会のライフはゼロよ!という感じで、ここまで秩序が崩壊していると、暴力もスカッとするというよりも、ただただ恐ろしい、という感じになります。あと宝石産業の血塗られっぷりも理解できて勉強になったりします。