終わりなき日常という敵――「AURA〜魔竜院光牙最後の闘い〜」

魔竜院なんちゃらというタイトルを見て、またクソみたいな中二病アニメを観させられるのかとげんなりした人にこそ、本作は楽しめると思う。なぜなら、本作は中二病の痛さを日常側にいる人たちが白い目で見る、そんなメタ中二病映画なのです。
たとえば、ハルヒ長門というキャラは宇宙人を自称していますが、マジでこんなこと言うやつがクラスにいたら引く。けっこう引く。失礼ですが、なんすかその設定? え? どうして、そんな世界の終焉が実は静かに進行していてその危機に立ち向かう険しくも重要な任務についてたりするんすか? マジぱねぇっすね? そう、問い詰めたいわけですよ。
いやはや。なんでそんなに見えない敵と闘ってるんですかね、あの方々は。現実からは全力で逃げてるのに……。で、まさにここが最重要ポイントなのです。宇宙的な危機に立ち向かうだけの気概はあるのに、なぜその高い意識を終わりなき日常にぶつけることはできないんですかね。
映画としては、やや物足りなかったですが、原作はエンタメとして完成してますので、ご一読あれ。