障害を問い直す / 松井彰彦, 川島聡, 長瀬修

障害を問い直す - hiroyukikojimaの日記で紹介されて読んでみた。障害とは社会的なものであるという話が衝撃的だった。たとえば階段の一段一段が2メートルだったら、社会の大半の人は障害者になる。一部の筋力に恵まれた人だけが健常者ということになろう。逆に、階段が廃止され、すべて緩やかなスロープになれば、車いすの利用者も健常者ということになる。この社会設定においては、彼らは移動に何の障害も持っていない。
ここで重要なのは、いかなる社会設定も所与のものではない、ということだ。
階段の一段一段が30cm程度の現状は、なんら必然的なものではない。スロープを備えるのがコスト的にペイしないというのも、それは現状で車いすの利用者がそこまで大きな声をあげていないというだけで、彼らの発言権が増え、需要があると認められれば、ペイするようになる。
本書は、非常に難しい問題を取り扱っており、万人が納得するような政策をかかげているわけでは必ずしもない。しかし、そのなげかける問いは、一読に値する。