この作者はやっぱりどこか普通の人なんだなあ。だって見てくださいよ、この毒のないほのぼのとした世界を!
筒井康隆の短編集を
腐海とするなら、
東野圭吾の短編集は風の谷のように清浄だ。「エンジェル」みたいな、シニカルな毒の片鱗をみせる作品はあれど、
東野圭吾の良心はそうした毒が作品全体を飲み込まないように抑え込んでしまった。まるで風の谷を
腐海の侵攻から守る男たちのようである。むしろ
ナウシカのように
腐海に魅せられた人には
牧野修「楽園の知恵」といった毒まみれの作品をオススメします。