あなたの会社が90日で儲かる!―感情マーケティングでお客をつかむ / 神田昌典

本書では、マーケティングの基本は、商品のカッコよさやクオリティの高さを演出することではないと断言しています。そのようなイメージ広告は大企業のような体力のあるところしかできず、中小企業がやってもお金をドブに捨てるようなもんだというのです。
そもそも、そうした広告はどこもやっていることなので「どれも同じような商品なら安いやつを買おう」という価格競争になってしまい、会社にとっては茨の道です。
では、どんな広告宣伝が有効なのかというと、それはお客のパーソナルな感情に訴えかけ、レスポンスを起こさせるような広告です。この会社はなんとなく自分のことをわかってくれる、そうした気持ちを生むことが重要なのです。

「商品が良ければ売れる」という時代は終わり、今では「どのように商品の価値を演出するか」という時代になりました。そうした時代になってもいまだに商品のクオリティだけをアピールするのは愚鈍です。今はどれだけお客の気持ちになって考え、実際にお客に商品を好きになってもらえるかというマーケティングの時代なのです。
価値をどのように演出するかというのはビジネスだけでなく、ありとあらゆることの基本ですね。クオリティの高さをおろそかにしていいということではありませんが、それよりもいかに相手の感情を揺さぶるか、そこに主観的な感動を生むかを考えたほうがうまくいくこともあります。その感動の創作をくだらないと甘くみてはいけません。そんなことしたらハリウッドで映画を作るたびに震撼する全米に失礼です。
っていうのはさすがに冗談ですが、でもフィクションだからといって欺瞞的だと言うのは短絡的です。そもそも、今ここにない理想だからこそ、それを実現したいという気持ちが生まれるのです。その感情に嘘はありませんし、そうやって魂を込めて演じた作品には、人を感動させるたしかな力が宿ります。そういう意味ではビジネスは芸術です。win-winの関係をいかに創るかというartです。