100億円を与えられた12人が、その金と権力で日本を救え、という無茶振りなゲームに参加させられるという話。閉塞感のある社会をいかに変えるか、というテーマには興味があるんですが、それを実現しようとするとハイパー超人を登場させなくてはいけないので、物語の展開が「今ここにいる平凡なわたし」と乖離してしまい、結局「すごいやつは社会を変えられるけど、わたしは別にすごくない」という疎外感のある結論に至ります。で、本作はというと、「今ここにいる平凡なわたし」である咲を中心にしてストーリーが進むので、疎外感を味わうことは回避できているのですが、その結果社会の変革がまったくできておらず、閉塞感の打破に失敗しています。
至道流星「雷撃☆SSガール」や村上龍「希望の国のエクソダス」が描いたような、「今ここにいる平凡なわたし」が非凡な英雄にひきつられて革命に手を染めるという、あの社会をなぎ倒す快感がないのです。100億使ってこれかよ、しかも「今ここにいる平凡なわたし」の預かり知らないところで事件が解決されてしまうし、もうなんだこれって感じですよ。
