「まどか☆マギカ」が終わった今こそ「紫色のクオリア」を読もう

魔法少女ものにしては血なまぐさいなー程度にしか最初は思っていなかったのですが、なかなかどうして傑作ですよ。だいたいこういうバトルものって敵を倒すときに必殺技の名前を叫ぶじゃないですか。この作品の魔法少女もそうした例に漏れなかったわけで「あーはいはいそういうのね」って思ってたんです。ところが、物語が進むにつれて必殺技をドヤ顔で叫ぶ魔法少女は一名しかいないことが発覚するのです。他の魔法少女は淡々と戦闘をこなしてます。そりゃ戦闘中に中二病を炸裂させている暇はないってことはわかりますが、そんなシリアスな舞台設定だったことに後から気づかされるわけです。これは驚いた。
同時に件の必殺技少女は、シビアな現実を少しでも「魔法少女の世界観」に変えようとがんばっていた、けなげな女の子だったことにも視聴者は気づきます。この転換にはまいりましたね。「ふつうの魔法少女」だったはずが「魔法少女らしくあろうとする痛い子」になってしまったわけですから。彼女は過去編でも豆腐のようなメンタルを発揮して痛々しいエピソードを披露するわけですが、非常に人間臭くていいです。マミさんマジマミさん。*1

10話が好きすぎる人へ

マミさんもいいですが、ほむほむもマジほむほむです。本作の主人公はまどかじゃなくてほむほむなんじゃないかって思うくらい、彼女にスポットを当てた10話は素晴らしかった。こういう運命に抗う系の話は本当にいいですね。何度でも同じ状況に挑みながら、その度に失敗を繰り返し、微調整を続けながら正解を探る、このシチュエーションだけでごはん3杯はいけます。というわけで運命に抗いたい紳士淑女の諸君にはこのうえお久光「紫色のクオリア」をオススメしたいと思います。
運命を変える正解を見つけられたのが宇宙法則まどか☆マギカでしたが、本作ではQBという万能装置がいない分より残酷です。ただ宿命論的な面白さもあるので、人によってはこちらのほうが納得がいくということもあるでしょう。

*1:この辺りの面白さは「ベルセルク」のロストチルドレンの章にも通じますね。