父として考える / 東浩紀・宮台真司

最近の僕は自由主義が世論の支持を得ることに悲観的で、経済的に効率な社会なんてものは夢だと諦めかけています。そうすると、貧しいながらも楽しい我が家、ではないけど、厚みのあるコミュニティができれば、とりあえず幸福は確保できるかな、ということになります。実際僕も物欲がないので月20万くらいあって、気の合う友達と議論できる時間があれば、ぜんぜん生きていけます。本書は、子供受けしそうなリベラルな主張をしてきた二人がいざ自分に子どもができる段階になって、地に足つけて地域社会を語らざるを得なくなった、という対談本。とくに東はこんなダメ親父でいいんだろうかという自虐を交えつつ、それでも真剣に家族・コミュニティと国家運営のはざまを語ろうとしており、なかなか共感できました。