航路 / コニー・ウィリス

臨死体験を科学的に解明するものとしては瀬名秀明「BRAIN VALLEY」があるけど、それを宮部みゆきが書いたらおそらくこんな冗長な、ではなく、えー、重厚な、そう、重厚な物語になったはずだ。そしてこの書き出しからもわかるとおり、残念ながらあまり好きになれなかった。ディティールの細かさ、生活感あふれるキャラ達、そうした要素を愛することができなかった。ちょっと長すぎやしませんかウィリス先生? 謎解きの過程が長すぎるし、謎を解いてからのドタバタももどかしい。同じ死に至る人生をテーマにしたテッド・チャン「息吹」と比較したとき、この「航路」がたどる道がどれだけ遠路であることか……。