ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき / レイ・カーツワイル

100兆のニューロン間結合と神経伝達物質の濃度。これが、あなただ。あなたが見ている世界も、聞こえる音も、内なる思考も、すべてこの脳細胞の中にしかない。だけどこの脳細胞はあなたの一部ではあっても、あなたの本質ではない。あなたの意識が宿るその脳細胞は、実は1ヶ月かそこらで構成分子がほとんど入れ替わってしまうからだ。つまり精神とか意識とかいったものは、特定の原子(物質)に宿っているわけではなく、おおまかな物質の流れの中に浮かぶ模様みたいなものだ。
いってみれば、私たちは情報のパターンなのだ。ちょうどそのブラウザがPCでもケータイでも動くのと同じように、意識というソフトウェアもハードウェア(脳細胞)が多少変わってもふつうに動く。情報パターンなんだから、その辺のソフトウェアみたいにバージョンアップもできるし、100年たてば朽ち果てるこのポンコツハードウェアともおさらばだぜ! みたいなそういう展開があってもいいはずだ。というわけで本書は、発明家レイ・カーツワイルが「21世紀はテクノロジーが指数関数的に成長して大変SFチックな社会が到来する」と断言する、めちゃくちゃ楽しい本です。未来が気になる人、死ぬのが怖い人は是非読んでいただきたい。遺伝学・ナノテクノロジー・ロボット工学のコンボが最高にリアリティのある理想を語ってくれます。長いので「レイ・カーツワイルの未来予測が凄まじい件」にまとめました。