オススメ
本書では、マーケティングの基本は、商品のカッコよさやクオリティの高さを演出することではないと断言しています。そのようなイメージ広告は大企業のような体力のあるところしかできず、中小企業がやってもお金をドブに捨てるようなもんだというのです。 そ…
そんな事より読者よ、ちょいと聞いてくれよ。スレとあんま関係ないけどさ。 昨日、近所の遺産分割協議行ったんです。遺産分割協議。 そしたらなんか現金でなんぼかあったんです。 で、よく見たらなんか純金買って運用するらしいんです。 もうね、アホかと。…
ずっと気になっていた哲学者だった。なにかあるたびに「それって言語ゲームだよね」などとドヤ顔ではぐらかす連中に負けたくなかった、というのが動機である。あまり期待はしていなかったが、その分思わぬ収穫もあった。 以下は完全に「私」用のメモとして記…
文体にどれほどのコストが注ぎ込まれているのか、想像だにできない作家がいる。 津原泰水だ。短編ごとにそれぞれ異なる文体を使い分け、しかもそのそれぞれが研ぎ澄まされている。女性のような美学を感じさせるが、男性作家らしい。前に読んだ「綺譚集」より…
IFRSは2012年に上場会社に強制適用するかどうかが決定され、最速で2015年に強制適用が開始します。会計基準もグローバル・スタンダードなどという文句とともに、導入は既定路線です。しかし、このIFRSは理論的に問題が多いのです。従来の日本基準は、すでに…
〈第5回誰得賞〉受賞作の「万物理論」について解説します。前回の解説では人為的なイデオロギーによる、大きな物語の維持が不可能になっている現状を指摘しました。それに対するイーガンの解は「たとえイデオロギーにおいて僕たちが無数に分断されていても、…
イーガンの新作。今回は科学的なディティールがやたら細かいものが多いので初心者にはつらいかもしれない。どれもこれも高水準だけど、とくにすごかったのは「暗黒整数」。数学的な真理はイデアのように存在しているのではなく、物理的なプロセスとして暫定…
法学部生として最も感銘を受けた。 法学の講義って延々と解釈論をやるので、正直なにやってんだこいつら、と思っていまいした。たしかにそういった結論は導き出すことは可能だが、それとその結論が正当であることは別なのではないか、どのようにして正当な結…
ソウヤーの最高傑作。 ファースト・コンタクトもの。エイリアンの滞在する施設で、地球人の惨殺死体が発見され、容疑者としてエイリアンが逮捕されてしまう。相手がエイリアン? 知るか! 裁判だ裁判!……というストーリー。さすがのコモン・ローもこれには苦…
著者は日本の根本的な問題を官僚のインセンティブ設計だとしている。官僚は一度省庁に入った後はその省庁に骨を埋めることになる。出向によって他の省庁で働くことはあっても、その働きぶりを評価するのはやはり最初に入った省庁なのだ。ということは、どう…
先の芥川賞でこれを評価するのしないので意見が真っ二つに割れたのは、円城塔「これはペンです」でした。 文壇はいまや円城党と反円城党の二大政党制に移行しているといっても過言ではないでしょう。*1 なぜ円城塔はそこまで受け入れがたいのでしょうか。あ…
架空の書物の序文ばかりを集めた作品。しかもその架空の書物は、将来刊行されるであろうとレムが予想するもので、つまりこの作品は序文という形を取った壮大な未来予測でもあります。色々な作品が紹介されているのですが、共通しているのは「自然現象として…
エネルギー関連本は、新技術に夢見る技術屋が書いたお花畑や、エコ大好きの環境主義者のゴリ押し本が多くて、うんざりでした。なので本書はエネルギーの効率性という視点から現状を俯瞰しており、新鮮でした。まず、著者は質の良いエネルギーの基準として、E…
ビジネス小説のラノベっていうだけで軽薄なものしか想像できないわけですが、この本に限っては予想を裏切られました。完全に面白いです。さしたる技術も人材もない零細企業がアイディアだけでのし上がる様は本当に楽しい。そして単に一企業として成功するに…
魔境。外資系投資銀行は魔境なり。いや実は就活してるときはGSとか受けてたんですけどね、いまいちやる気が出なかったのはこの本が原因です。外資系投資銀行で働くということがいかにハードかということを具体的な体験談によって綴ってます。投資銀行の内定…
私は○○で成功した!系の話は全部運のみですからスルーしていいよ、ということを理解できました。なぜなら、そうした自己啓発本は、それによって成功した人の経験談でしかなく、それによって失敗した人がどれだけいるかは排除されているからです。本書は、こ…
もの言えば クビになるなり 経産省。 というわけで、公務員制度改革を骨抜きにした民主党政権を実名で批判した官僚の古賀茂明が退職依頼されて話題になっています。 本書は、小泉政権時代にこの公務員制度改革をやろうとしていた財務官僚が書いた本で、政権…
これは本当にいい本ですよ。古典の名に値する。とくに収録論文の「社会科学にとっての事実」は文系なら全員読むべき。 ハイエクによれば知識というものは「存在する」ものではありません。むしろ、知識は個々の人間によって「意思決定される」ものです。これ…
金融機関志望の人はみんな読んでると思って、あえて今まで読んでなかったのですが、やっぱり傑作です。ハゲタカファンドという、ボロボロになった会社の株や債権を買い叩いて高値で転売するビジネスの話なんですが、会社をめぐる制度がどのように使われてい…
敵対的買収が流行ったときに「会社は誰のものか」という議論が盛り上がりました。会社法によれば、会社は株主に所有されているので、それが「良い会社買収」か「悪い会社買収」かは株主が決めればいい、ということになります。経営陣がいくら反対して、敵対…
ライフネット生命保険の創業者が起業の経緯を語った本。一言でまとめると「現状の生保ビジネスは商品設計をわざと複雑にして消費者をぼったくってるので、シンプルな商品を安く売りさばけば既存の生保を出しぬける」というものです。消費者の側からするとな…
読んでいて楽しい。真に啓蒙的な本というのは、ただ単に役立つだけでなく、世界が広がっていく爽快感をともなうのです。本書では食糧不足というのが単なる俗説で、実際は潜在的な生産能力がかなりあるということをデータで示しています。とくに面白かったの…
次の20年を制する技術がここに書いてあります。それは、ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)、脳内の思念によって機械を動かす技術です。しょせん、精神とか心とかいうものは脳内の自然現象です。ならば、その過程を数学的に解析し、その情報によって…
今年もやってまいりました、年間ベストを選出する企画「誰が得するんだよこの本ランキング」です。気持ちとしては「誰が損するんだよこの本ランキング」にしたいところですが、ブログ名との兼ね合いでこのタイトルになっています。実用書と小説それぞれベス…
最近の僕は自由主義が世論の支持を得ることに悲観的で、経済的に効率な社会なんてものは夢だと諦めかけています。そうすると、貧しいながらも楽しい我が家、ではないけど、厚みのあるコミュニティができれば、とりあえず幸福は確保できるかな、ということに…
1996年、A国中央政府は絶望的な状況にあった。太平洋に浮かぶ群島国家であったA国は、その経済を鉱山資源の輸出に依存しきっていた。その鉱山が反政府武力組織に占領されたのだ。しかし、国防軍にその奪回のための軍事力はなかった。旧宗主国からの援助も断…
素晴らしい。この小説を単なる、管理社会批判の教訓本としてとらえるのは野暮ってもんですよ。もちろん僕も自由主義者のはしくれとしては、この本をアンチ全体主義・アンチ「大きな政府」のプロパガンダとして翼賛したい気もやまやまなのです。だが、なんか…
リバタリアン・パターナリズムという思想がある。リバタリアニズムは「市民はバカだが政府はもっとバカなので、市民の判断に任せるしかない」というものであり、パターナリズムは「政府はバカだが市民はもっとバカなので、政府が介入するしかい」というもの…
平岡公彦氏に紹介された永井均「これがニーチェだ」をようやく読みました。僕の感覚からすると非常にわかりやすかったです。紹介していただいてどうもありがとうございます。僕がどうしても理解できなかったのは「どうしてニーチェは健全だとか健康だとかに…
そろそろこの名著を紹介しておこう。 世界を上下に分けて下に味方するのが左翼、世界をウチとソトに分けてウチに味方するのが右翼 - Zopeジャンキー日記 でリバタリアニズムが支持されているのは「なにが正しいかはわからない。だから権力や暴力でなにかを強…